個人事業主として開業したいけれど、どうしたらいいのかわからない
開業届を提出するメリットはあるの?
開業届の書き方や提出方法を知りたい
個人事業主として独立を考えながらも、こんな不安を抱えている方も多いですよね。
本記事では、開業届の基本情報や提出するメリットとデメリット、開業届の具体的な書き方や手続き方法を解説します。
また、開業届に関する質問についてもお答えします。
個人事業主として、ビジネスを成功に導くチャンスを逃さないためにも、ぜひ参考にしてください。
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開業届とは?個人事業主が知っておくべき基本情報
開業届は、法人や個人が事業を開業する際に、税務署に提出する書類です。
開業届の提出は、事業が正式に認められることを意味し、個人事業主としてのビジネスを始める第一歩といえるでしょう。
ここでは、個人事業主として円滑な事業運営をするために必要な基本情報を紹介します。
開業届の正式名称と提出先
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、国税庁が定めた公式の届出で、税務署に提出する際に使用されます。
提出先は、事業を行う場所を管轄する税務署です。
例えば、東京都渋谷区に住んでいる場合は、渋谷税務署が提出先です。
提出先の税務署がわからない場合は、国税庁のwebサイトで管轄の税務署を確認できます。
開業届が必要となるケース
個人事業主として事業を始める際、開業届の提出が必要となる場合があります。
開業届が必要になるケースは、以下のとおりです。
- 新たに事業を開始する
- 副業として個人事業を始める
- 休業・廃業していた事業を再開する
- 農業や不動産賃貸業を始める
- 相続によって事業を引き継ぐ
フリーランスや副業として継続的に収入がある、または起業する場合は、開業届の提出が必要です。
開業届は必ず提出すべき?法的義務について
開業届を提出しなくても罰則はありませんが、税務署への申告や社会保険の手続きなど、他の面で不利益が生じる可能性があります。
開業届を提出する法的義務について、3つのポイントを押さえておきましょう。
- 開業届提出の法的期限
- 提出しなかった場合のリスク
- 確定申告との関係性
詳しく解説します。
開業届提出の法的期限
国税庁の規定によると、個人事業主として事業を開始する際、事業を開始した日から1か月以内に開業届を提出する必要があります。
例えば、1月15日に事業を開始した場合、2月15日までに開業届を提出しなければなりません。
事業を開始後すぐに開業届を提出することで、事業開始や各種手続きがスムーズに行えるでしょう。
提出しなかった場合のリスク
開業届を提出しないと、個人事業主としての責任を果たせなかったり、スムーズなビジネス運営ができなかったりする可能性があります。
提出しなかった場合のリスクは、以下のとおりです。
- 税務上の問題が発生する
- 青色申告の適用が受けられなくなる
- 公的支援制度の利用機会を逃す
- 取引先との信頼関係構築にも影響を与える
- 将来的な事業拡大の障害になる
適切な時期に提出することで、リスクを回避し、円滑な事業運営が実現できるでしょう。
確定申告との関係性
開業届を提出すると、税務署に事業の開始を正式に通知することになり、確定申告の義務が発生します。
開業届を提出した年から、毎年確定申告を行う必要があるため、1年間の収入や経費を計算し、所得税などの税金を納めるようにしましょう。
開業届を提出することで「青色申告」を選択できるようになり、最大65万円の青色申告特別控除を受けられる場合があります。
また、開業届を提出すると、税務署から確定申告に関する案内や情報を受け取ることができ、申告の期限や必要書類などを把握しやすくなります。
開業届の提出は、確定申告をスムーズに行うための重要なステップといえるでしょう。
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個人事業主が開業届を提出するメリット
個人事業主が、開業届を提出する4つのメリットを解説します。
- 青色申告による税制上の優遇措置がある
- 屋号での銀行口座開設が可能になる
- 公的支援制度が利用できる
- 法人向けクレジットカードが作れる
開業届を提出するメリットは、ビジネスを成功させるための大切な一歩です。
さっそくみてみましょう。
青色申告による税制上の優遇措置がある
「青色申告」は、個人事業主が大きな税制上の優遇措置を受けられる制度です。
青色申告のメリットは、主に3つあります。
- 所得控除額が大きい
- 赤字の繰越控除が可能
- 家族従業員の給与を経費計上できる
「青色申告」を行うには、開業後2ヶ月以内に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
申請書は、開業届と同時に提出することが可能なため、個人事業主を考えている方は「青色申告」の活用を検討しましょう。
屋号での銀行口座開設が可能になる
開業届を提出すると、屋号での銀行口座を開設できます。
屋号口座を持つと、個人の口座と事業用の口座を明確に分けられるため、収支の管理がしやすくなり、経理処理が各段と楽になります。
また、屋号口座を使用することで、取引先からの印象も良くなり、新規取引先の開拓にも役立つでしょう。
ただし、屋号口座の開設には開業届の控えが必要になったり、銀行によって手続きが異なったりするので、事前に必要書類や手続きを確認する必要があります。
公的支援制度が利用できる
開業届を提出することで、個人事業主は事業の立ち上げや成長を後押しする公的支援制度を利用できます。
具体的には、以下のような支援制度が利用可能となります。
支援制度 | 申請場所 | 特徴 |
---|---|---|
補助金・助成金 | 中小企業庁各地方自治体 | 設備投資・販路開拓・研究開発などの費用を一部補助してくれる制度 |
融資制度 | 日本政策金融公庫などの政府系金融機関 | 創業時の運転資金や設備資金の調達 |
経営相談サービス | 商工会議所中小企業支援センター | 事業計画の策定や経営課題の解決に専門家のアドバイスが得られる |
セミナーや研修プログラム | 各種支援機関が主催する事業者向けセミナーや研修 | 経営スキルの向上最新のビジネストレンドの習得 |
ビジネスマッチング支援 | 公的機関が主催する商談会や展示会 | 新規取引先の開拓や販路拡大につながる |
公的支援制度は、事業者の規模や業種、地域によって異なります。
制度の利用については、地元の商工会議所や中小企業支援センターに相談しましょう。
法人向けクレジットカードが作れる
開業届を提出することで、個人事業主は法人向けクレジットカードの発行が可能です。
法人向けクレジットカードは高額な利用限度額が設定されているため、事業に必要な大型の支出や資金繰りの面で柔軟に対応可能です。
また、カード利用の詳細が記録されるため、経費の管理がしやすく、確定申告の際の経費計上がスムーズになるでしょう。
個人の信用情報と事業の信用情報を分けて管理できる点もメリットです。
事業用の支出が個人の支出に影響を与えにくくなり、将来的な融資や資金調達の際に役立ちます。
個人事業主が開業届を提出するデメリット
開業届の提出には多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。
- 扶養控除からの除外されることがある
- 失業給付金が受給できなくなる
- 記帳・申告の手間が増える
3つのデメリットを踏まえた上で、開業届の提出を検討しましょう。
扶養控除からの除外されることがある
個人事業主としての収入が一定額を超えた場合、扶養控除から外れる可能性があります。
扶養控除とは、扶養家族の生活費を負担している納税者に対して適用される税金の控除制度です。
具体的には、年間の所得が103万円を超えると配偶者控除や扶養親族としての控除が受けられなくなります。
例えば、学生がアルバイトをしながら個人事業主として活動を始めた場合、収入が増えることで親の扶養から外れる可能性があります。
家計全体の税負担が増える可能性があるため、事前に家族と相談し、収入見込みを慎重に検討しましょう。
失業給付金が受給できなくなる
開業届を提出すると、失業給付金の受給資格が失われる可能性があります。
失業給付金は、失業中の方の生活を支援するための制度です。
しかし、開業届を提出すると、自営業者として収入を得ていると判断され、給付金の受給資格を失うことがあります。
ただし、副業程度の小規模な事業開始の場合や収入が一定額以下の場合は、失業給付金の受給を継続できる可能性があります。
失業保険を受給している方は、開業届の提出前にハローワークに相談しましょう。
記帳・申告の手間が増える
開業届を提出すると、個人事業主として正式に事業を開始したことになり、事業に関する記帳や確定申告の義務が生じます。
事業に関する記帳や申告の作業のポイントは、以下のとおりです。
- 日々の収入や経費を正確に記録する
- 年に一度の確定申告の準備
- 決算書類を作成する必要がある
記帳や申告は、事業を適切に管理し、税務上の問題を避けるために重要な作業です。
事業開始初期は慣れない作業が負担に感じることもありますが、責任を持って行いましょう。
開業届の記載方法と提出手続きを3ステップで解説
個人事業主にとって重要な開業届の書き方と提出方法を、3つのステップで解説します。
- 必要書類の準備
- 記入
- 提出方法
正確に手続きを行うことで、個人事業主としての第一歩を確実に踏み出せます。
①必要書類の準備
スムーズな手続きを行うために、開業届の提出に必要な書類を準備しましょう。
個人事業主が開業届を提出する際に必要な書類は、以下のとおりです。
必要書類 | 詳細 |
---|---|
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書) | 税務署で入手または国税庁webサイトからダウンロード可能 |
本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの身分証明書 |
個人番号確認書類 | マイナンバーカードや通知カードの写し |
印鑑 | 届出書に押印するための印鑑 |
事業の概要がわかる書類 | 事業計画書や定款など(任意) |
委任状 | 本人以外が提出する場合に必要 |
特に本人確認書類と個人番号確認書類は忘れずに用意しましょう。
また、不明な点がある場合は、最寄りの税務署に問い合わせることをおすすめします。
②記入
開業届の記入項目について、注意点をまとめました。
記入項目 | 注意点 |
---|---|
住所・氏名 | 住民票記載の住所・氏名を正確に (フリガナ含む) |
個人番号(マイナンバー) | 12桁の個人番号 |
屋号・雅号 | 使用する場合のみ ない場合は空欄 |
事業の種類 | 主たる事業と従たる事業を具体的に 例えば「Web制作」「飲食店経営」など |
事業開始年月日 | 事業開始日 |
事業所の所在地 | 事業場所の住所(自宅の場合はその旨を記載) |
青色申告承認申請書 | 希望する場合は同時に申請可能 |
給与支払事務所等の開設届出書 | 従業員を雇う予定がある場合にチェック |
署名・押印 | 自筆で署名し、認印を押印 |
記入漏れや誤記がないか再度確認をし、不明な点がある場合は、管轄の税務署に問い合わせをしましょう。
③提出方法
開業届の提出には、主に3つの方法があります。
- 税務署窓口への持参
- 郵送による提出
- e-Taxを利用したオンライン提出
各提出方法の具体的な手順や注意点について詳しく解説します。
税務署窓口への持参
最も確実なのは、税務署の窓口へ直接持参する方法です。
税務署に持参する場合は、以下の必要書類を忘れずに準備しましょう。
- 開業届の用紙
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 印鑑
窓口では担当者が記入内容に不備がないか直接チェックしてくれるため、不明な点があればその場で質問できます。
窓口での提出は時間がかかる場合もありますが、はじめて開業届を提出する方にとっては安心の方法といえるでしょう。
郵送による提出
郵送による提出は、開業届を税務署に直接持参する時間がない場合や、遠方に住んでいる場合に便利な方法です。
郵送での提出手順は、以下のとおりです。
- 必要書類の準備
- 返信用封筒の用意
- 送付先の確認
- 郵送方法の選択
- 到着確認
郵送での提出は、時間や場所の制約がなく便利ですが、到着までに数日かかるため提出期限に余裕をもって郵送しましょう。
e-Taxを利用したオンライン提出
e-Taxは国税電子申告・納税システムの略称で、インターネットを通じて24時間365日いつでも開業届を提出できるサービスです。
税務署に行く手間や郵送の時間を省くことができるため、効率的な方法といえるでしょう。
e-Taxを利用する方法は、以下のとおりです。
- 電子証明書の取得
- e-Taxのにアクセスし、利用者識別番号の取得
- 開業届の電子申請フォームに必要事項を入力
- 電子署名を添付して送信
- 提出が完了し、受付結果が表示される
e-Taxを利用すれば、添付書類をPDFで送信でき、紙の書類を準備する必要がありません。
はじめて利用する場合は設定に時間がかかるため、余裕を持って行いましょう。
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よくある質問(FAQ)
開業届に関するよくある質問とその回答をまとめました。
- 開業届の提出期限を過ぎてしまったら?
-
開業届の提出期限は原則として開業日から1か月以内ですが、期限を過ぎても罰則はありません。
ただし、提出が遅れると青色申告の適用が制限される可能性があります。
遅れて提出する際は、開業日を正確に記入し、遅延理由を添えて税務署に提出しましょう。
提出期限が過ぎてしまっても、開業日から2か月以内であれば青色申告の承認を受けられますが、期限以降の場合は、翌年度からの適用となる点に注意が必要です。
早めの提出が望ましいですが、遅れた場合でも速やかに対応することで、税務署との良好な関係を築けるでしょう。
- 副業の場合の開業届は提出すべき?
-
結論から言えば、副業であっても一定の条件を満たす場合は開業届を提出することをおすすめします。
開業届を提出する上限は、以下のとおりです。
開業届を提出する上限- 副業による収入が年間20万円を超える見込みがある
- 副業が本業と全く異なる事業である
- 将来的に副業を本業にする可能性がある
ただし、開業届を提出することで扶養控除から外れる可能性があるなど、デメリットもあります。
自身の状況をよく確認し、必要に応じて税理士などの専門家に相談しましょう。
- 開業届提出後に事業内容を変更したいときは?
-
開業届を提出した後に事業内容を変更したい場合は、手続きが必要です。
小さな変更の場合は特別な手続きは不要ですが、大幅な変更の場合は、税務署への届出が必要になります。
具体的には「個人事業の開業・廃業等届出書」の「届出の区分」欄で「変更」にチェックを入れ、変更内容を記入し再度提出しましょう。
事業内容の変更によって、適用される税法や必要な許認可が変わる可能性もあります。
例えば、飲食店から小売業に変更する場合、保健所への届出が不要になる代わりに、新たに営業許可が必要になることがあります。
変更手続きは、変更が生じてから1ヶ月以内です。
期限を過ぎると無申告加算税が課される可能性があるので注意しましょう。
まとめ:開業届提出で個人事業主の第一報を踏み出そう
個人事業主として開業届は、新しい事業を始めるために重要な手続きです。
開業届には、税制優遇や公的支援の活用、事業用口座の開設など、事業を効率的に進める機会が広がるメリットがあります。
一方で、扶養控除からの除外や失業給付金の受給制限など、個人の状況によっては影響を受ける可能性があるデメリットもあります。
開業届の書き方や提出方法を正しく理解し、自身の状況に合わせて提出するか判断することが大切です。
開業届の提出は法的義務ではありませんが、事業の成長と安定のために重要な手続きです。
開業届を提出することで事業者としての覚悟もできるため、ぜひ提出しておきましょう。
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